2012年11月18日日曜日

iPadとAndroid.医学生,研修医はどちらを買うべきか.

タブレット端末が流行っています.
そう,2年半くらい前から.

既にまわりの先生や同級生が何かしらタブレットを持っているのを見るのは珍しくもなんともないと思います.
iPhoneなんかみんな持ってますしね.一昔前,今でいうスマホの走りだったW-ZERO3なんか持ってましたけど,そのときは完全に変態扱いだったんですけどね.

そんな昔とは違って,今は高性能なタブレットがたくさん出ています.
たくさん選択肢がある仲で,二大巨頭はやはりAppleのiPadとGoogleのNexus7だと思います.
他にも日本の大手電機メーカーはもちろん,台湾や韓国のメーカーや,いずれMicrosoftのSurfaceなども選択肢に入ってくることでしょう.
そこでひとまず今,医学生や研修医が業務を円滑にすすめるためタブレットを買うならiPad,Androidのどちらがよいのか考えてみたいと思います.


§1.初代iPad
初代iPadが発売されたとき,僕は5年生で丁度ポリクリが開始したときでした.
当時から一部の医療関係者からは注目されていたように思います.
名古屋大附属病院なんかでは100台単位で購入したりしたそうですね.
医療機関じゃないですが,石垣島の離島ターミナルの受付がiPadを用いて予約とってたりしたのも見たことがあります.

用途としては論文PDFの閲覧,PACSと連携させた医療画像の参照,自炊した医学書の参照,患者さんへの説明ぐらいでしょうか.
僕がいた大学でも調べ物用に救急外来に3Gモデルが置かれていたりしていましたが,個人の医師が持ち歩いている姿はまだ見たことがありませんでした.(当時日本では発売されていなかったKindleに論文を入れている奇特な人はいました)

僕も初代iPadを自炊した教科書の閲覧や,予備校の講義ビデオを見るために使用していましたが,正直使い勝手が悪かったです.
理由としては3つ.1.重い,2.遅い,3.すぐ落ちる

1.重い
iPad最大の欠点です.680gという重量は他のモバイルPCと比べても破格の軽さでしたが,持ち歩くには大きくて重すぎました.iPadを持ったことのない人にわかりやすく言うと,大体肝臓の半分くらいの重さです.あるいは少年ジャンプ一冊分.もちろん,教科書を何冊も持ち歩くよりは軽いのですが...

2.遅い
使用するAppや自炊した本の解像度にもよるのでしょうが,実際の教科書をめくって目的のページを探すのと比べて,iPadでページをめくって探す方が遅いです.表示速度はCPUの性能が上がっている今前よりもましでしょうが,電子書籍をタブレット上で扱う上で現在もつきまとっている問題の一つです.問題点に関してはある程度の解決策がありますが,これに関してはまた後日.

3.すぐ落ちる
初代のiPadはメモリが256MBしかありませんでした.そのため何冊も教科書を開いたりしていると突然アプリが落ちることがありました.iPad2以降はメモリ容量も増え,そういった心配は少なくなりました.

当時は他に選択肢がなく(半年くらいしてGalaxy tabなんかが出ましたが),以上の理由からだんだん利用頻度は減っていきました.
就職してから"新しかったiPad"購入も考えましたが,やはりあの大きさのものを常時持ち歩くのはしんどいため,画面の小さいスマートフォンでぽちぽちやっていました.

§2.Nexus7
色々書いていたら長くなったため,歴史は一気に2年以上飛びます.この間もSony tabletや台湾メーカー,携帯キャリアから色々とタブレットは出ていましたがいかんせん値段は高いしどうにも決め手に欠ける.
そんな中Nexus7は衝撃的でした.19800¥でタブレットが買えてしまうという.10年以上前,超型落ちで中古のWindowsCEのiPaq(iPadではない)を2万ぐらいで買った気がします.21世紀を感じます.
Nexus7の日本発売が発表されてから店頭へ触りに行ったところ,画面は綺麗だわ軽いわ小さいわで思わず衝動買いしそうなところでしたが,品切れだったためどうにか買わずにすみました.危ない.
現在32GBモデルの在庫は潤沢なようで,Googleの販売ページでそう待たずに買えるようです.

では,果たして研修医・医学生にとってNexus7は有用でしょうか?
普通の学生や会社勤めの方が仕事上の書類を扱ったり,動画見たり自炊した本を読んだりする分には何の問題もないと思います.
僕も仕事で使おうと思わなかったら普通に欲しいです.いじくりたいです.

§3.なぜiPadの方がおすすめなのか
Nexus7は非常に魅力的ですが,こと医療者が使う場合AndroidタブレットはiPadに敵いません.主にアプリの豊富さで.

まず基本となるのはPDFビューア.
論文やネット上で配布されているガイドライン,自炊した本などを読むためには必須となります.極力自分に合った性能のアプリを選びたいものです.
いずれまとめて紹介したいと思っていますが,iPadで使用できるビューアはたくさんあります.医学書の閲覧に適したものとなると限られてきますが,i文庫HDやSidebooks,Comicglassをはじめとして優秀なアプリがたくさんあります.
しかしAndroid用となるとAndroid版i文庫HD,Perfect Viewer,Adobe Readerぐらいしかなく,選択肢が限られてしまいます.Perfect Viewerは本を読むには適していますが,教科書を読む用途には使いづらいです.

次に,医療者向けアプリの存在です.
iPad用にはここに挙げきれないほどの医療者向けアプリがありますが,Android向けにはM2+ Launcherぐらいでしょうか.他に何かあれば教えていただきたいです.
医療者におけるMacユーザー率は一般と比べて異様に高く,医療者向けiOSアプリの充実の大きな理由となっているのだと思います.
これからも医療者に向けたiPad用アプリがたくさん出てくることでしょう.

最後にバッテリーです.カタログ上はさほど違いはないかもしれませんが,iPadはそれはもうアホのようにバッテリーが持ちます.使い倒しても3日は持ちますし,スリープ状態で放っておいても全然バッテリーが減りません.iPadが登場したとき,最も革新的だと思ったのはタッチやらアプリやらがどうのうではなく,汎用性のあるモバイル端末としてかつてここまでバッテリーの持ちがよいものがあったかと.
僕の主観かもしれませんが,Android端末はバックグラウンドでのタスクの問題か,何もしていなくてもガリガリバッテリーが減っていく気がします.
当直やらなにやらで長時間の拘束が当たり前の医療者にとって,モバイルにパワフルなバッテリーは必要不可欠かなと思います.

§4.学生のうちはNexus7でよいかも?
というわけでやたらめったらAndroidをこき下ろしiPadを持ち上げてしまいましたが,あくまで医療者の視点に立った上でです.
普段使いとしてはGPSがついて,自分で色々いじくれるNexus7はとても魅力的だと思います.
また,Apple製品は値段が高く,働き始めてしまえばともかく,学生が購入するにはなかなか手が届きにくいのではないでしょうか.
学生のうちは値段の張らないNexus7でいいかもしれません.
M2+ Launcherなんかで教科書は見られますし,当然EvernoteやDropboxなどのクラウドサービスも問題なく使えますしね.


結局はお財布と相談,みたいな感じになってしまいましたが,いかがだったでしょうか.
自分自身がちょっと前にNexus7を買うか,当時はまだ噂だけだったiPad miniの発表を待つか非常に悩んだため,こんなエントリを書いてみました.
何かの役に立てれば幸いです.

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